フードアレルギーは発症初期こそ原因特定が難しい一方、原因食材が分かれば管理は十分可能です。ここでは、よくある原因、典型的な症状、診断の考え方、除去食試験(エリミネーション・ダイエット)のやり方、再導入の進め方までを実践手順で解説します。
※本記事は一般情報です。診断・治療は必ず獣医師にご相談ください。
フードアレルギーとは?
消化の過程で分解しきれなかったタンパク質の断片などを体が「異物」と誤認し、免疫反応が起こる状態です。発症時期は数週間〜数年と幅があり、同じフードを食べ続けているうちに突然症状が出ることもあります。複数の食材に反応する(アトピー体質の)個体もいます。
関連記事
よくある原因食材
- 犬:牛肉、鶏肉、乳製品、卵、小麦、とうもろこし、大豆など。
- 猫:魚(シーフード全般)、牛肉、乳製品など。
ポイント:
過去に問題がなかった食材でも、感作が進めば後から反応することがあります。
こんな症状が見られたら
まずは皮膚症状が目立ちます。とくに頭・首・耳・四肢・肛門周りの強いかゆみが典型です。かゆみから舐め壊しや掻き壊しが進み、以下が出やすくなります。
- 発赤、丘疹、かさぶた、ホットスポット、脱毛。
- 犬では外耳炎(耳道の赤み・腫れ)を繰り返すことも。
- 嘔吐・下痢などの消化器症状は最頻ではないが併発あり。
注意:
ノミ・ダニ、環境アレルギー、皮膚疾患と症状が酷似します。自己判断で断定しないことが大切です。
診断の基本方針
フードアレルギーの確定には、最終的に除去食試験が欠かせません。血液検査やパッチテストは参考情報にはなりますが、食事での反応確認が決め手になります。
除去食試験の実践
目標:疑わしい食材を徹底的に排除し、症状の改善を確認すること。
期間:原則6〜8週間(厳密運用が前提)。
① フードの選び方(3つのアプローチ)
除去食試験期間中に与えるフードを以下の中から選択します。
- 新奇タンパク質食:その子がこれまで食べたことのないタンパク源+炭水化物。(例:ベニソン/ラビット/フィッシュ × エンドウ/スイートポテト など)
- 加水分解タンパク質食:タンパク質を超微細化して免疫が認識しにくい形にした療法食。
-
手作り食:獣医師・栄養士監修のもと、総合栄養の補助(ビタミン・ミネラル)を必ず設計。
② 試験中の「完全除去」チェック
NG(成分に注意!)
- テーブルフード・おやつ・ジャーキー・ガムなど。
- フレーバー付き歯みがき粉、サプリ、投薬(例:ビーフ味の予防薬)。
-
フレーバー付きのおもちゃ/トレーニング用スプレー。
OK
- 飲水は通常通り。
- 薬が必要な場合は無香料タイプや代替を獣医師と相談。
- 与えた食材・症状・日付の記録を残す。
③ 効果判定
- 6〜8週間でかゆみ・皮疹が明確に改善→ 食物関与の可能性が高い。
- 改善が曖昧 → 期間延長や別処方の検討、他要因(環境アレルギー・寄生虫など)を再評価。
再導入テスト
除去食で落ち着いたら、1食材ずつ、2週間間隔で元の食材を追加します。
- 症状が再燃した食材=原因。以後は恒久的に回避。
- 反応がなければ「安全食材リスト」に登録し、選択肢を少しずつ広げる。
長期管理のコツ
- 主軸フード:新奇タンパク or 加水分解タンパクの総合栄養食を継続。
- ラベル確認:ビーフアレルギーなら「牛脂/エキス/フレーバー」もNG。
- ローテーション:安全確認済み食材で慎重に。むやみに増やすと管理が複雑化。
- 耳と皮膚の定期チェック:早めの受診で悪化を防止。
-
併発アレルギーが強い場合:獣医師判断で抗炎症薬や免疫調整薬を短期併用することも。
よくある質問(FAQ)
家で確実に調べる方法は?
現時点での基本は除去食試験です。市販検査は参考にとどめ、食事反応で最終判断します。
期間はどれくらい必要?
まず6〜8週間を厳密運用してみてください。途中の「ちょっとだけ」が判定を不明瞭化させます。
一度治れば再発しませんか?
体質そのものを「治す」ことは難しく、原因食材の回避が基本です。誤摂取時の増悪には獣医師の治療が有効なことがあります。
猫は何歳で起こりやすい?
比較的2〜6歳で見られることが多いものの、どの年齢でも発症し得ます。
受診の目安
- 掻き壊しが止まらない/出血・膿がある。
- 外耳炎を繰り返す、悪臭や痛みを示す。
- 嘔吐・下痢が持続、または食欲の低下。
- 除去食試験を始めたいがやり方に不安がある。
まとめ(チェックリスト)
- 原因候補を想定し、新奇 or 加水分解で除去食試験を開始。
- おやつ・フレーバー製品は完全除去。
- 6〜8週間の厳密運用 → 改善を確認。
- 1食材ずつ/2週間で再導入 → 原因を特定。
- 長期は原因回避+総合栄養の確保で安定管理。
【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、獣医師による診断・治療の代替ではありません。症状がある場合や食事変更を行う際は、必ず獣医師にご相談ください。
関連記事